もっと、上手になりたい。純真でメジャーに挑んだ、永遠の野球少年。

第1回 松井稼頭央さん メジャーリーガー

2008年12月1日

インタビュアー 丸山貴宏

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松井稼頭央さん
  • PROFILE
    松井稼頭央(まつい・かずお)
  • 1975年大阪府生まれ、メジャーリーガー。PL学園高校時代は投手として活躍、甲子園にも出場。
  • 1994年、ドラフト3位で西武ライオンズに入団。内野手、スイッチヒッターに転向。
  • 1997年には62盗塁で盗塁王になるなどリーグ優勝に貢献。 同年のオールスターゲームでは1試合4盗塁の新記録を樹立してMVPを獲得。1998年にはシーズンMVPを受賞。2002年にはスイッチヒッターとしては史上初の3割30本塁打30盗塁の「トリプルスリー」を成し遂げ、「センチュリーベストナイン」にも選出。2004年、メジャーリーグのニューヨーク・メッツにFA移籍し、初の日本人内野手メジャーリーガーとなった。
  • 2004年の開幕戦では、メジャー史上初となる開幕戦新人初打席初球本塁打を記録。その後は怪我もあり、2006年シーズン中にコロラド・ロッキーズへトレード移籍。。
  • 2007年はプレーオフで逆転満塁本塁打も放つなどリーグ優勝の原動力に。ワールドシリーズでは、岡島秀樹や松坂大輔が所属するボストン・レッドソックスとの対決となり、史上初の日本人直接対決が実現。
  • 2007年オフ、ヒューストン・アストロズと3年1,650万ドル(推定)で契約して移籍した。
Next update 松井稼頭央氏
メジャーに触れて感じた、凄さと楽しさ。

2008/11/17

思うにまかせぬ 逆風の中で。

2008/11/25

変化を恐れず夢へ邁進。

2008/12/1

新天地で見つけた自分らしさ。

2008/12/8

メリットやデメリットを超越した向上心。

2008/12/15

変化を恐れず夢へ邁進。

2006年シーズン中、突然のトレード移籍。ニューヨーク・メッツでは年間通じての活躍はできなかったが、新天地コロラド・ロッキーズでは、二塁手として先発出場。メッツ時代は、3年連続シーズン初打席本塁打(メジャー史上4人目の快挙)に象徴される長打力でも沸かせたが、ロッキーズでは、1番や2番打者としての役割を再認識。2007年、自己最多となる32盗塁を記録、また二塁手としても定着し、シーズン守備率.992は、二塁手リーグトップという好成績だった──。

「これだけ練習したんだから、きっとまたやっていける。そう信じるために走り込んでいる部分もあります」

丸山:
トレード移籍は、会社員でいえば、自分の意思とは無関係という意味で、「異動」かもしれませんし、「左遷」である場合もあるでしょう。プロ生活唯一のトレード移籍を通達されたとき、どんな心境でロッキーズ行きを受けとめましたか。
松井:
「それは、正直、悔しかったです。これほど悔しいことはないってくらいに。なにがいちばん悔しかったかというと、打てる打てない、守れる守れない、そんなことより、怪我をして試合に出られなかったことでした。治療に専念しているときは、テレビでさえ野球を一切見ませんでした。見てしまうと、出られていない自分が歯痒くてたまらなくなるから。ロッキーズへ移籍する際に思ったのは、その悔しさを忘れてやりなおすことではなく、悔しさを背負っていこうと。練習するとき、あえてあの悔しさを思いだして必死にやってみようと。怪我したから仕方がないで済ますのではなく、怪我も自分の責任と思い、怪我をしない体を作ろうと」
丸山:
メッツからロッキーズへとトレード移籍後に、快進撃が始まりました。苦しかった時期を乗り越えて、ワールドシリーズ出場へと向かう過程において原動力になったのは、悔しさの他に、どんな思いだったのでしょうか。
松井:

「怪我をしているとき、1Aから3Aまで、すべてのカテゴリーのマイナーチームでプレーしました。そこで学べたことは、メジャーを目指している若い選手たちは、ハングリーなのはもちろんですが、野球が大好きなんだなと。楽しげに練習しているし、少しでもいまの自分より上手くなろうと、みな必死でした。大切なのは、成功とか失敗とかいう結果よりも、野球が大好きかどうか、それだけだなと。大好きなら、どんなにしんどいことにも、耐えることができます。例えば、僕は、基本練習を大事にしています。それは他人から見れば、単調でつまらない練習に思われるかもしれませんが、僕は、基本がなければビッグプレーは生まれないと信じています。試合で一つの簡単なゴロを捕球するために、何千回、何万回とノックを受ける。そしてファインプレーができたとき、最高に気持ちいいですし、練習してきてよかったなと心から思えるんです」

丸山:
苛酷な練習をするなかでも、自分が向上していかないとき、なかなか結果が出ないとき、どのようなことを考えて、また日々の練習や試合に臨むのでしょうか。
松井:
「不安になることはあります。このままで来年もやっていけるんだろうかとか、人にはわからないプレッシャーを感じながらプレーしている部分もあります。そんなとき、僕がすべきは、悩んだり、落ち込んだりすることではなく、練習しかないと思うんです。例えば、僕は打ったり守ったりする練習は好きなほうですが、長距離を走るのはあまり好きではない。それを、オフの時期に、あえてしっかり走り込む。1年を通じて戦えるだけの体力を、その走り込みで貯金するという考え方もありますが、僕は、これだけ練習したんだから、きっとまたやっていける、そう信じるために走り込んでいる部分もあります。そして、シーズン中に、オフの間の練習を思いだして、あれだけやったんだからと思うんです」

<来週につづく>

構成/平山譲

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「新天地で見つけた自分らしさ。」

華々しいメジャーデビューのあと、怪我に悩まされ苦しむ。その逆風の中で松井さんを支えた精神とは
とうとうワールドシリーズの大舞台へ辿り着く。
チャンスを掴み、そしてものにするための秘訣とは
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