もっと、上手になりたい。純真でメジャーに挑んだ、永遠の野球少年。

第1回 松井稼頭央さん メジャーリーガー

2008年12月8日

インタビュアー 丸山貴宏

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松井稼頭央さん
  • PROFILE
    松井稼頭央(まつい・かずお)
  • 1975年大阪府生まれ、メジャーリーガー。PL学園高校時代は投手として活躍、甲子園にも出場。
  • 1994年、ドラフト3位で西武ライオンズに入団。内野手、スイッチヒッターに転向。
  • 1997年には62盗塁で盗塁王になるなどリーグ優勝に貢献。 同年のオールスターゲームでは1試合4盗塁の新記録を樹立してMVPを獲得。1998年にはシーズンMVPを受賞。2002年にはスイッチヒッターとしては史上初の3割30本塁打30盗塁の「トリプルスリー」を成し遂げ、「センチュリーベストナイン」にも選出。2004年、メジャーリーグのニューヨーク・メッツにFA移籍し、初の日本人内野手メジャーリーガーとなった。
  • 2004年の開幕戦では、メジャー史上初となる開幕戦新人初打席初球本塁打を記録。その後は怪我もあり、2006年シーズン中にコロラド・ロッキーズへトレード移籍。。
  • 2007年はプレーオフで逆転満塁本塁打も放つなどリーグ優勝の原動力に。ワールドシリーズでは、岡島秀樹や松坂大輔が所属するボストン・レッドソックスとの対決となり、史上初の日本人直接対決が実現。
  • 2007年オフ、ヒューストン・アストロズと3年1,650万ドル(推定)で契約して移籍した。
Next update 松井稼頭央氏
メジャーに触れて感じた、凄さと楽しさ。

2008/11/17

思うにまかせぬ 逆風の中で。

2008/11/25

変化を恐れず夢へ邁進。

2008/12/1

新天地で見つけた自分らしさ。

2008/12/8

メリットやデメリットを超越した向上心。

2008/12/15

新天地で見つけた自分らしさ。

ロッキーズへ移籍して2年目の2007年、二塁手としてチームを牽引し、レギュラーシーズン終盤の14勝1敗という快進撃に貢献。そして10月4日、勝率で並んだサンディエゴ・パドレスとのワンデープレーオフという大一番にも勝利し、ワイルドカードによるプレーオフ進出を果した。地区シリーズでは逆転満塁本塁打を放つなど、彼らしい華々しい活躍も見せた。そして、「世界一」を夢見て海を渡った男が、とうとうワールドシリーズの大舞台へと辿り着いた──。

「本当の自分でない自分を求めてしまったら無理がある。他人にはなく、自分にはあることを大切にする」

丸山:
日本では3割30盗塁30本塁打を記録するほど、スピードでもパワーでも観客を魅了してきました。けれども、ロッキーズ移籍後は、むしろパワーは捨てて、堅実な1、2番打者としての役割を再認識されたことで、また輝き始めたような印象も受けますが。
松井:
「日本では、パワーヒッターでもないのに、あれだけホームランを打てて、打順も3番を任されたことがありました。でも、あのときは、本当の自分ではない自分を作っていたような感じでした。メジャーでやっていくなかで気付いたのは、打球の飛距離なら、いくらでも上がいる。パワーでは絶対に勝てない。それなのに、メジャーでも、本当の自分ではない自分を求めてしまったら、それは無理がありますよね。だから、メジャーでは、本当の自分を作っていこうと。他人にはなく、自分にはあるものを大切にする。それはなにか考えていくと、僕の場合は、例えば相手が嫌がるようなバッティングだったり、いつでも走れる積極的な盗塁だったり。自分を特徴づけて、そこを伸ばしていこうとすると、徐々にチームに欠かせない選手になれる。チームのバランスでは、ホームランバッターも必要だけれど、リードオフマンも必要。自分がどういう選手なのか、それを知って、それを磨くことが大切なんだなと、改めて思いました」
丸山:
松井選手は日本時代からチャンスに強く、ここ一番という勝負どころでの好打が光っていました。それはメジャーでも同様で、ワンデープレーオフでの延長戦での一打や、地区シリーズでの逆転満塁本塁打など、多くの場面で本領を発揮されていました。チャンスを掴み、そしてものにするための秘訣などあったら教えてください。
松井:
「僕の場合、例えば得点圏にランナーを背負って打席へ向かうとき、プレッシャーになるようなことはありません。むしろ、ラッキーと思うようにしています。もちろん、打席に入るまでは準備を怠りません。練習も一生懸命やります。でも、その打席で打てるか打てないか、そんなことは気にしません。自分にできることは、バットを振って、バットとボールが当たる瞬間までで、当たってから先のことはボールに聞いてくれって感じです。自分でコントロールできるところまでは全力を尽す。自分でコントロールできないことは、あまり気にしない。ホームラン性のいい当たりが捕球されてアウトになったり、ボテボテの当たり損ないがヒットになったりするのが野球です。だから僕は、人から冷めているといわれるくらい、グラウンドでは絶対に怒ったりしません。バットを投げたりもしません。バットに八つ当たりするぐらいなら、練習が足りない自分のせいだと思うことにしています」
丸山:
ワールドシリーズという、野球選手なら世界中の誰もが憧れる大舞台。「世界一」という大きな目標を前に、どのような心境で試合に臨みましたか。
松井:
「終盤のレギュラーシーズンで14勝1敗。しかもプレーオフに入ってからも7戦全勝でナショナルリーグのチャンピオンになってワールドシリーズへ。シーズン土壇場で21勝1敗なんて、奇蹟ですよね。だから、ロッキーズも、僕も、なにも守るものなどなく、ワールドシリーズへは、チャレンジャーそのものという精神で向かっていけました。緊張などしなかったし、思い切りプレーできました。ワールドシリーズは、最高の舞台でした。あの舞台を味わえたことは、野球選手として幸運でした。もちろん、これからも、またあの舞台に立って、今度こそ世界一という目標に向かっていきます。でも僕は、あまり大きな夢を描かないタイプでもあるんです。まずは、162試合のレギュラーシーズンを、怪我なく戦い抜くこと。そこからです」

<来週につづく>

構成/平山譲

NEXT 12月15日(月)
「メリットやデメリットを超越した向上心。」

華々しいメジャーデビューのあと、怪我に悩まされ苦しむ。その逆風の中で松井さんを支えた精神とは
ロッキーズでの活躍後あえて環境を変えることを選択し、
アストロズへ移籍。その心境とは
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